「なにそれ」







ティキは僕の手に持つヌイグルミを見てそう言った。














終わりはじまり






ノアの屋敷で一人、ベッドの上で寝っ転がっているのは、アレン・ウォーカー。

暇そうに眉間に皺をよせ、ごろり、一回転する。





「ひまですね…」






ロードはどっか遊びに行っちゃって居ないし、ティキも仕事から帰ってない。

ジャスデビは…帰って来ても煩いからいいや。





あー…会いたいなぁ……









ガチャ
「アッレーン!」


「ぅわぁ!……び、びっくりしたじゃないですか、ロード!」






突然ノックもなしでドアを開けて、思わず飛び跳ねてしまうほど驚いてしまった。


心臓がバクバクいってて、無意識に心臓に手を当ててしまう。






「ごめんねーv
アレンにプレゼントあるんだぁ。早く渡したくて」





ふふふ、と笑いながら僕の前まで歩いてくる。

僕は体を起してベッドから足をぶらさげてロードの方を向き。







「へー…なんですか?」






首をかしげた。




お菓子かなんかですかね?

それともみたらしですか?

どちらにしろ好物ならなんでもありがたいですけど…








「じゃじゃーん!」









満面の笑みで後ろに隠していたものを前にだした。

それは、飴でもガムでもましてやみたらしでもなく…









「ぬ、ぬいぐるみ?」


「そぉだよぉー。アレン、あのエクソシストのラビってやつが好きなんでしょー?」






だから、そのラビが来るまでこれで我慢して?と続けて、僕にうさぎのぬいぐるみを渡して来た。


薄いピンク色をしたウサギ。ご丁寧に黒い眼帯までつけてある。

少し、ロードの趣味がはいっている気がしますが…







「ありがとうございます、ロード」








気を使ってくれたことが、何よりもうれしい。










「気に入ったー?」

「はい!」










ラビ……僕は寂しいです。


いつになったら僕のもとに来てくれるんですか?




僕はいつでもここで待ってますから、つまらない意地をはってないで来て下さいよ。




僕は家族の中でも気が長い方ですけど



あまり待たせてると…


怒りに任せてラビ、あなたを殺しちゃうかもしれませんよ?








「アレン何か企んでるような顔だねぇー」


「そう、見えますか?」


「うん。」


「何も企んでませんよ、僕は。
むしろロード、あなたの方が企んでいそうですね。」






僕の膝の上に頭を乗せて「ふふふっ」と笑みを見せた。

ロードの頭を撫でて僕も笑みを浮かべた。







「早く来るといいねvアレーン」


「そうですね、ロード」







微笑む僕の頬にロードはキスひとつして、部屋を出て行った。


ロードと別れ、ぬいぐるみを手に長い長い廊下を歩いていると、こちらに向かって歩いてくる影が見えた。
影はひとつ。








「よっ、アレン。」


「ティキでしたか。仕事終わったんですか?」






黒のティキということは人間の方には行っていないんですかね。

口にくわえていた煙草はティキの指にはさまれ、口からはふーーっと煙を出した。







「まぁな。……で、アレン?それは趣味?」







それ。


ティキの視線の先には僕の手にあるウサギのぬいぐるみ。








「…………そんな訳無いでしょう?これは先程ロードにいただいたものです。ラビが来るまでの代わりだそうです。」


「ラビ?……あぁ、ブックマンJr.ね。」


















■□■
























教団の一室。


あらとあらゆる国の本や紙きれが散乱するこの部屋で

ベッドの上で眉間を寄せている男――ラビは頭の中で考えを巡らせていた。




ぐちゃぐちゃになりそうな思考を整理して、額に手の甲を乗せた。

目を閉じ、出るのは大きなため息ばかり。









――教団なんて抜けて僕の所に来て下さいよ。









アレンが差し出したイノセンスのない手。


アレンのその手をとれなかった。

ラビはブックマンJr.といえどエクソシストだ。



じじいもいるし、Homeという帰る場所もある。









それに――…








『ラビは、どこにも行かないよね…?』









ラビの服の裾を掴んで、下を向き泣きそうな声で聞いてくるリナリー。



その手は微かに震えていた。







(俺は、どうしたいんさ……)







コンコン
「おーい、ラビすぐに指令室来てくれ。任務だ」






リーバーの声が届いて、視界が戻る。

じじいはいない。





一人で任務に行かなくてはならないのだろうか。

今、俺がアレンにあったら…次はどうするかわからない。





手を取るかもしれない。



もしかしたら、リナリーのあの言葉が過ぎってアレンを――…。








「わかったさー」









今は考えるよりも任務が先。

考えるのは任務から帰った後にしよう。





重い腰を持ち上げて、教団のコートを手に取って部屋を出た。








コムイに言われた任務内容はアクマの破壊とイノセンスの回収。


一人でもできる簡単な任務だろう。





資料をパラパラとめくって、パタン、閉じた。








「じゃ、行ってくるさ」


「行ってらっしゃい。…あ、ラビ!資料忘れてる!!」


「あぁ。もう覚えたさ」


クスッ
「流石だね。気を付けて」








ラビはコムイにヒラヒラと手を振って司令室を後にした。




この時、誰も気付くことはなかった。




この任務でラビの運命が左右することを………


















■□■


















「ねぇ、アレーン?」


「何ですか?ロード」


「今からさ、遊びに行かない?」









外は既に暗くなりだしたというのに、ロードはレロを持って行く気満々のようだ。

僕は飲んでいた紅茶のカップをテーブルに置いて、ニコリ微笑む。







「えぇ、構いませんよ」







椅子から立ち上がり、上着を着た。


ロードはあまりの嬉しさに、僕に飛び付いて来た。








「アレン大好きーーvv」


「ありがとうございます」







床からロードの扉が出て来て、





キィ…




音を立てながらゆっくりと開かれた。




僕はロードを抱えながらコツコツ、歩く。


これから行く場所には多数のアクマと、破壊すべきイノセンスがあるらしい。









「イノセンスがあるなら、そこにはファインダーやエクソシストがいるんじゃないんですか?」


「多分ねぇー」




(わかってて僕を連れてくんですか…ι)







エクソシストがいるとしたら面倒だ。

特に神田が居たら厄介ですからね。






どうか神田じゃありませんように…!






本気でそう願い、ロードと共に扉の中に入っていった。

















ボロボロに破壊されている街をロードと歩く。

アクマは壊されたらしい。




ま、わかってましたけど…






エクソシストも見当たりませんけど、まさかイノセンス持って行ってしまいましたかね……








「アレーン、この先見て来てくれるぅ?」







その顔はなんですか…ι


何かまた企んでますね?






「……構いませんが、ロードはどうするんですか?」


「僕はこっち見てみるよ。」


「わかりました。もし、何か見つけたら教えてくださいね?」


「わかったぁ。じゃーいってらっしゃーいv」






恐いですね、ロードの企みは。

何を考えてるんでしょうか





「アクマが一つも見当たりませんね…。」





相当の数を送ったはずなんですけどね…


見渡してもアクマの姿がない。




やはりエクソシストが壊してイノセンス持っていきましたか…?




黒の僕はキョロキョロ辺りを見回しながら先を歩いていく。






そして、見つけた。

















僕が欲しいもの―――…


















「………!」






へぇ…ロードはコレを知ってて僕をここに?


後で何か御礼をしないといけませんね?




ねぇ―――……







「ラビ」



「……だ、れ…さ……」





血を流しすぎましたね、ラビ。


こんなに僕があなたの近くにいるのにわからないだなんて。



このまま放っておけば確実に死んじゃいそうですし…








「僕ですよ、ラビ。」


「……アレン、さ?………ハハッ。死ぬ前に…好きなやつに会えて、よか…た……」






手にはイノセンスが握られていた。

アクマを全部破壊したのはいいけど、もう立ち上がる力もないんですね?


持ち帰るにはそれが楽でいいんですが。




死ぬなんて許しませんからね?





僕と離れたまま永遠に会えなくなるなんて。









「ラビ、もう限界です…僕の傍に居てください。

エクソシストのラビは死んだ、で良いじゃないですか。」







後は貴方が頷けばいいんです。


そうすれば、また僕の隣に居られるんですから。








まだ頷く位は出来るでしょう?











「……そう…さ、ね……」


「……ラビ?」


「……………」






それだけ言って意識を飛ばしたようです。


反応もありませんし。






でも、頷いてました。

これで、ラビは僕の隣に帰って来た。



さて、急いで新しい家に帰りましょう?家族が迎えてくれますよ。




僕は出血が多すぎて、身が軽いラビを抱き上げてロードの所までもどった。




あぁ、忘れちゃいけませんね。



ゴーレムを壊して、ラビの手の中にあるイノセンスを壊した。










「ラビ…さあ、行きましょう」









「アレーン、会えたぁ?」


「はい。やっと、手に入りました。
早く千年公の所に行きましょう?このままではラビが死んでしまいます。それに…」





咎落ちになったら困りますからね。



瓦礫の上でニコッと笑みを向けているロードに視線を移した。

軽やかに降りて来て、僕の隣に着地。






「そぉだねぇ…じゃ、そのコートくれる?アレン」


「?ラビのこのコートですか?」






ロードが指さしたのはラビの教団のコート。

僕はラビからそれを脱がして、ロードに渡した。






「どうするんですか?コートなんて。」


「フフッ 見ててぇ…」






大きめな壊れた壁にコートをあてて、ロードが持っていたナイフでエクソシストのエンブレムを





思いっきり刺した。









「ロードったら…遊び心満載ですね。」


「だって、エクソシストのラビは死んだんだよ?これ位はしたいよ♪」


「…そうですね。ここにいるのはエクソシストのラビじゃない。これからノアのラビですし…」









あぁ…泣くんでしょうね、リナリー?













これで、あなたの世界はまたひとつ











  カ
    ケ

  タ
   






























「千年公!ラビはどうですか?」


「心配性ですネ、アレンv」





よしよし。



僕の頭を撫でてくれる。


あれから僕たちはすぐに戻って千年公にお願いした。

千年公はすぐにラビの所に行ってくれて。





「大丈夫デスv我が輩に任せておけばちょちょいのちょい、デスv」



ホッ
「よかったです……」








ベッドに寝かせていマス、傍に居てあげてくださイv



と言って、千年公は行ってしまった。






うぅ…緊張しますね、








「アレーン♪」


「!ロード」


「うさぎちゃんはぁ?」






う、うさぎちゃん?

たぶん、ラビのことかと思いますけど……





「千年公が大丈夫だって言ってました。
…ロード、ありがとうございます。」


「フフッ なんのことぉ?」


「僕のために、ラビを家族にしてくれるように頼んでくれたんでしょう?
いつか、お礼しますね?」


「飴がいいなぁ♪」


「わかりました。…では、僕はラビが醒めるまで傍にいますので」


「うん♪」









廊下をスキップして行くロードを微笑ましくその先を見ていたら、レロが泣きそうな声で叫んでいるのが聞こえた。



きっと宿題だろう…




後で手伝わないと…ですね。















カチャ……




ベッドに眠っている黒いラビ。

額には、今までなかった十字架があった。



確認するかのように、僕はそれをなぞってほほ笑む。










「…………」









やっと、僕のそばに――……










「ラビ…」















もう、放しません。










やっと、僕たちはまた始まるんですから―――…








END...

09.02.19
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携帯サイトに載せていた小説です。
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