有心論
「綱吉君・・・・・・」
この棺のなかで眠っている君は、もう目が覚めることないのでしょうか・・・。
こんなことなら、出会った頃からずっとそばにいたかった。
棺の蓋を開けて触れる綱吉君の頬は冷たい。
「なんの為にいるんでしょうかね・・・僕たちは。」
君がいて、そして僕たちがいる。
綱吉君を守るためにある守護者なのに・・・守るものを失ってしまった。
「では・・・行ってきますね、綱吉君。」
額にキスを落とし、静かに蓋を閉じた。
「あの・・・白蘭サマにお仕事の話でご相談が・・・」
いつ見ても笑顔・・・クフフ・・・・・・ムカつきますね、その余裕な表情。
こんな男に綱吉君が負けるなんて許せませんね。
「実は一身上の都合でやめさせていただきたく・・・・・・」
「お、それはびっくり。君の才能には期待してたのにな――」
「ま・・・またそんな・・・・・・」
当たり前じゃないですか。
この僕が才能ないわけありません。
「ホントホントなかなかできることじゃないよー
グロ・キシニアを黒曜に向かわせるように誘導するなんてさ。」
「・・・」
まさか、見破られているとは・・・
しかも、完璧にこなしているこの僕を見破るなんて・・・
クフフ・・・侮れませんね――・・・
「いつから?」
「随分前だよ。」
その笑顔が、気に食わないんですよ。
視線が気になっていたんですが、やはり気づいていたとは・・・
「食後の運動くらいにはなるかな」
どこまでもふざけた人だ
◆◇◆◇◆◇◆◇
ザッ・・・・
「・・・・・っ」
まさか、ここまでとは・・・
「なんて恐ろしい能力なんでしょう・・・」
この僕が・・・こんな奴に・・・・
右目も、使い物にならなくなりましたか・・・・
「さすがミルフィオーレの総大将・・・というべきですかね。敵いませんよ。」
白蘭のその笑みが、崩れることがない。
綱吉君―――・・・・
君の敵討ちなんてできそうにないですね・・・
もともと、そんな気はありませんでしたが。
「バイバイ・・・」
ザシュッ――・・・・
少し、望んでいたのかもしれません
綱吉君がいない世界なんて、僕には必要なかった。
だから、死んだあなたを追いかけたかったんでしょうか・・・
クフフ・・・あなたは怒りますかね、こんな僕を・・・。
いつだったか綱吉君が褒めてくれて伸ばすようになった髪。
雲雀は気持ち悪いなんて言ってましたが、綱吉君が触れてくれるのがうれしかった。
「――――・・・―――・・・・・・」
うるさいですね・・・
「――ろ・・・―――くろ・・・・・骸―――・・・・」
誰ですか、僕を呼ぶのは・・・・
ピッ・・・・・ピッ・・・・・
機械音?
「・・・・・」
天井・・・・寝ているんですか?僕は・・・
その前に、生きているなんて・・・
「やぁ。」
「・・・・・・雲雀・・」
「まさか生きているなんてね。」
雲雀がいるということは、ここはボンゴレ・・・ですかね。
綱吉君を追えませんでしたか・・・
「・・・・僕も不思議ですね。・・・死んだと思いましたから・・・・・・」
おや?
意外と起きれるもんですね。右目は・・・あぁ、塞がれてますか。
「起きて平気なの?」
「クフフ・・・ふらつきますけど起きれないことはないようですね。」
「運ばれてきたときは瀕死の重傷だったよ。誰もが死ぬと思ってたし。」
「そうですか・・・」
死んでも、良かったんですけどね。
綱吉君がいない世界なんて興味ありませんし・・・
「・・・今、呼んでくる。」
雲雀さんが帰ってこない。
なんか骸がミルフィオーレから意識不明の重体の状態で戻ってきたって言ってたけど・・・
あの骸が?
10年後の、骸・・・だよね。
「お、どうだ?目ー覚ましたのか?」
「まぁね。・・・会う?」
怖いから!!
雲雀さん、その目つきで見ないでよ・・・
「え、あ・・・・」
「会ってこい。骸はお前の守護者だぞ?」
そうだけどさー・・・
「早く行ってこい!馬鹿ツナ!!」
ゲシッ
「痛てっ!!」
もう、リボーンたら乱暴・・・
「じゃ、行くよ。」
「あ!待って!!」
雲雀さん足はやいっ!!
しかもリボーンはいかないのかよ。
ど、どうしよう・・・骸になんて言えば良いのかな・・・
雲雀さんについてきちゃったけど・・・今から戻っていいかな・・・
戻ったらリボーンに殺されそうだし・・・どうしよう・・・
「言っておくけど、君達が10年後のこの世界に来ていること言ってないから。」
「え!?お、俺が言うんですか!?」
「言わなくてもわかるでしょ。小さけりゃ・・・」
「そ、そうですよね・・・
あの、雲雀さん。」
「何?」
「え、っと・・・骸の容体・・・そんなに悪いんですか?」
「そんなの、自分の目で見たら?」
誰を?
そんな事を聞く前にいってしまいましたか・・・
しかし、生きているとは思いませんでしたね。
どこまでしぶといんですか、僕は・・・
「――――?」
おや?
「―――・・・――」
「――!?――!?」
「――――」
クフフ・・・誰でしょうかね。
1人は雲雀として、もう一人・・・いるようですが・・・
「そんなの、自分の目で見たら?」
ガラッ
「生きてる?」
「失礼ですね。生きていますよ。」
あなたが数分間だけ目を放している間だけじゃ死にませんよ。
「それで、誰を連れて来たんですか?」
後ろに誰かいますね。
「ほら。」
「ぅわっ!引っ張らないでください、雲雀さん!!」
「・・・・・・・・え?」
なんで、君がいるんですか・・・
「綱吉・・・君?」
「!・・・・骸・・・・えっと、体・・・・平気?」
君は死んだはず・・・
なんで
どうして
ここに、いるんですか・・・・?
ズキッ
「・・・・・っ!」
傷は、まだ治ってませんか・・・
右目をおさえて下を向いた。
「む・・・むく、ろ?」
「・・・・・」
「雲雀・・・どういうことですか・・・?」
「10年前の綱吉。10年バズーカでこっちに来たんだけど。」
「あぁ・・・そうですよね」
彼が・・・綱吉君が生きているはず、無いんですから。
バカですね、僕も。
10年前と今では身長も顔立ちも変わっているのに・・・
「はじめまして、綱吉君。」
「え、あ・・・ハイ・・・。」
「雲雀・・・少し、2人にしてくれますか?」
「はぁ。・・・じゃ、僕は向こうに戻るから。」
「ハイ。」
去っていく雲雀を確認してから、視線を綱吉君に戻した。
久しぶりに見ますね、綱吉君は・・・
椅子に座って固まっているなんて可愛らしい・・・
「綱吉君。傍に・・・・来て下さい。」
戸惑いながらも目の前に立ってくれた綱吉君の手を引いて、抱きしめた。
腕の中で慌てている綱吉君から離れずに抱きしめる力を強めた。
自分でもわかるほど震えている。
クフフ・・・情けないですね。
でも、実在している綱吉君の温もりを感じたいんです。
「綱吉君・・・・っ」
会いたかったんです。
僕には、ずっと冷たくなった君の頬、額、唇・・・それしか残っていなかった。
「骸。無事で、良かった・・・」
「・・・ありがとうございます。」
それは、こっちのセリフです、綱吉君。
君が消えた世界。
ここが安全だとはいえ、それまでの間、生きていた。
それこそ、無事でよかった――・・・
「綱吉君・・・」
後頭部を手で押さえて綱吉君の唇にそっとかぶさった。
10年前の綱吉君とはこのような関係ではありませんし、拒否は仕方ないかもしれませんが・・・
下に伸びた手を、ゆっくりと太腿をつたって上がっていく。
「!・・・ん・・・むく・・・あっ・・・・はぁ・・・っ・・・////」
すみません。
我慢・・・できそうにありません・・・・・・
「ちょ・・・やめ・・・・あっ・・・ん、ふ・・・・やぁ・・・////」
――2秒前までの自殺志願者を 君は永久幸福論者に変えてくれた
ここにいる綱吉君の存在は、少なくとも僕にとってうれしい言葉をくれた。
そして、10年後の綱吉君は僕を愛してくれた。
――そんなきみはもういない いない いない いないけど
君が全てを変えてくれるなら・・・未来を変えてくれるというのであれば・・・
僕はもう一度綱吉君を愛することができるのでしょうか・・・
もう一度、守ることができるんでしょうか・・・
君を愛せるのであれば、僕は生きて待ちましょう・・・目の前で、笑ってくれるなら・・・僕は何だってしよう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・うっ・・・」
「泣かないでください・・・無理をさせてしまったことは謝ります。」
いきなりキスしてきて・・・怖くて・・・本当はすぐに放したかった。
でも、骸が泣いている気がしたんだ。
だから、振り払うことが、できなかった。
「骸も、泣かない・・で・・・・?」
「クフッ・・・泣いてませんよ。」
でも、心の中では、泣いている。
超直感っていうのかもしれないけど・・・骸が泣いているように見えて仕方がないんだ。
まるで、存在を確かめているかのようで・・・
「俺は、ここに居るよ」
骸の頬に手を添えて・・・骸の手が、俺の手に重ねて・・・
「・・・綱吉君にはかないませんね。」
泣きそうな顔で、笑った。
10年後の俺は死んでても、骸の前にいる俺は生きているから。
俺は、みんなを助けたいから・・・・
僕を愛してくれた綱吉君はここにはいない。
ここにいるのは、その昔の彼。
いまからでも、遅くないでしょうか・・・
ねぇ、綱吉君・・・・
――息を止めると心があったよ そこを開くと君がいたんだよ
目を覚ます前に聞こえたあの声は、綱吉君・・・あなたですね?
――左心房に君がいるなら問題はない ない ないよね
安心しました。
綱吉君は、僕の一番近いココロの中にいたんですね。
・・・・・・だから・・・
目の前の綱吉君を、守りましょう。
小さな彼が、未来を変えてくれるのを信じて・・・
またあなたが、僕の前で笑ってくれるように・・・・・・
END...
あとがき
未来に行ったツナたちの話です。むっくーのところはネタばれですが・・・
ねつ造しちゃいました。
10年後ツナが死んで、後を追おうとしたむっくーとツナが再会です!
10年後むっくー最高!!