この男には、きっと心配という文字はないのだろう。
[服を求めて]
一護が小さくなってしまった。
どうやら体だけではなく、精神状態も子供に戻ったようだ。
でなければ、こんな行動はきっとない。
一護が藍染を前にしても向かって笑っているのだから。
ウルキオラが世話をすることになったのはいいとしよう。
こんな小さな子供、ましてや一護を他の奴らに預けたら食われるに決まっている。
「うるきおら。ふくー」
「はい。・・・・・今持ってきます。」
部屋に戻っていたウルキオラは、
小さくなる前まで着ていた一護本人の服を巻かせ、代わりとなる服を探しに出た。
此処には子供はいない。だから子どもの服もないのだ。
いや、此処には日番谷という者がいるが、頭にはなかったようだ。
ウルキオラは溜息をひとつつき、藍染の元まで(面倒ながらも)向かった。
「藍染様。一護様の着る服がないのですが、どういたしますか?」
「あ。そういえばそうだね・・・。
こんなことなら草鹿やちるの服をこちらに来る前に取っておくべきだった。」
藍染は小さく舌打ちをした。
て、オイ!やちるは女だ。取るだなんて変態親父がするようなこと。
あんたは変態ですか・・・
なに悔しがってんだよ。
更木にめった刺しにされるぞ!!
「ほな、買いに行けばいいんちゃいます?ボク行きますわ」
壁に寄りかかっていた市丸は変わらぬ笑顔でそう告げると、藍染は仕方なく了承した。
藍染自ら買いに行ってやりたいところだが、
生憎(一護と遊び過ぎて)暇ではないのだ。(←つまり自業自得)
ニマリとした笑顔で市丸は早速現世へ行く準備をしだした。
ぶつぶつと何かを言い始めながら。
「冬と・・・あそこに行って・・・そのあと・・・」
「あぁ、ギン。ただし、日番谷くんは連れて行かなくていいから。」
「Σなんでです!?(冬とデートが・・・泣)」
「許可してしまうと3日ほど帰ってこないだろう?一護が可哀そうじゃないか!」
3日ほど帰らないことに少し図星。
悔しがる市丸は頬を膨らまし、うっすらと涙を浮かべながら藍染を恨んだ。
藍染は市丸を見下すように笑い、さっさと行かせるように促す。
それを遠目で見ていたウルキオラが溜息をもらした。
こんな馬鹿げた言い争いを見ても何の得にもならないだろう。
「藍染様。では・・・」
「あぁ、さがっていい。」
閉まる扉の先から
「風邪をひかせるな」
という藍染の声が聞こえてきたが無視の方向で。
市丸のことだ。戻ってくるのは遅くなるだろう。
何だかんだ言われておきながら日番谷を連れて行くのは目に見えている。
藍染は少々(というよりかなり)反抗的だった一護を虚圏に(無理やり)連れて来た。
そして市丸は藍染に駄々をこね、日番谷を連れて行く許可をもらったのだ。
どうしても連れていきたかった理由が、こうだ。
「可愛いし、誰かに取られたら嫌だから。
なにしろ可愛くて可愛くて冬がいなかったらつまんない」
そんな自分勝手な理由で通ると思っているのだろうか。
誰に?とは、聞かないでおこう。
ウルキオラは自宮ではあるが
中に一護がいるという事で軽くノックをしてから入る。
一護の姿が見当たらないと思えば
案の定ベッドの上の隅で丸くなって眠っていた。
少し散らばった部屋を片付け
本を手にし、一護が眠るベッドの近くに腰をおろす。
なんと落ち着いた光景だろうか。
部屋に聞こえるのは一護の規則正しい呼吸と本をめくる音だけだ。
一護は安心して眠れる場所を覚えたらしい。
いや、ただ眠くて眠っただけかもしれないが。
数時間たって市丸は戻ってきた。
思ったより早いご帰還でウルキオラも少しビックリぎみ。
隣には日番谷の姿もあった。やはり一緒に行ったらしい。
多くの袋をウルキオラに渡すと軽い足取りで去っていく。
ウルキオラはそんな市丸の背を見ていた。
(さっきの笑顔がキモかった・・・)
決して口にしてはいけない言葉だ。
そして市丸の周辺にハートが飛んでいるのは幻覚ということにしておこう。
「なぁ。」
「!はい。」
「あいつが買ったもの、まともじゃねーと思う。・・・わりいな」
と去り際に見せる笑顔にキュンと来ない者は(多分藍染以外)誰もいないだろう。
だからといって顔に出せば瞬時に市丸が射殺しに来るだろう。
いつもと変わらぬ表情で買い物に行ってきた日番谷に「ありがとうございました」という。
市丸の視線が2人に注がれているのを承知での対応だ。
日番谷は「じゃ。」と言うと寂しそうに呼んでくる市丸の元へ去っていった。
嫌な予感が頭をよぎったのか
日番谷達が見えなくなった途端、ウルキオラはすぐさま中身を確認した。
こんなにたくさんの服を着せるつもりなのだろうか。
多くの紙袋の中にはぎっしりと詰まった衣類があった。
寝ている一護を申し訳なさそうに起こし、服を着せる。
「一護様。バンザイしてください。」
うとうととしながら両手を天井に向け伸ばす。
ウルキオラが服を着せ、正して気付いた。
市丸が買ってきたもののほとんど・・・いや、全て上だけなのだ。
日番谷が言ったことがわかった。
(まともに買ってないのか)
一護に着せたパーカーのようなものは大き過ぎてワンピースのようになっていた。
しかし、そんなに長くないため、膝までの長さはない。
これを狙って買っていたのであれば、
例え自分の上の人であろうがちょっと殴りたくなるだろう。
というより、きっと市丸が日番谷に着せたいものを買ってきたに違いない。
「はぁ・・・。一護様。これで行動してください。」
「ありがとぉ」
目が覚めたのかはしゃいでドアを開けた。
出ると、すぐにウルキオラと共に藍染の元へ歩きはじめた。
どんな反応をするだろうか。
やはり市丸を怒るのが当然だろう。
こんな姿では風邪を引いてしまう。
しかし、一護だけに関しては何かと変態親父な藍染だ。
常識は通じないだろう。
(いざとなったら・・・・)
そんなことを本気で考えていたウルキオラ。
「藍染様。一護様をお連れ致しました。」
ドアを開き、先にすすむ。
数歩後ろで一生懸命歩く一護がかわいらしい。
「市丸様が上のみしか買わなかったようで、このようになってしまいましたが・・・」
「!!」
藍染は目を見開き、一瞬にして一護の前に移動して、持ち上げた。
「女の子みたいで可愛いじゃないか、一護v」
「ふあ〜・・・たかーい。」
花を飛ばしながら一護を抱きしめている。
怒るどころか喜んでいた。
まぁ、一護も喜んでいるのだが・・・。
喜んでいるのも束の間、一護から最悪の言葉が藍染にかかった。
「おじちゃん。もっと。」
「「「・・・・・・・・・」」」
一瞬にして場が凍った。
おじちゃん。
オジチャン
O JI CHA N
「・・・ぷっ・・・ククク」
市丸が口元を押さえて笑いをこらえている。
ウルキオラも肩を震わせて笑いをこらえているようだ。
「・・・・・お、おじちゃん?」
「?おじちゃん。」
「あ、ははは・・・すんません。ちょ、笑いが・・・」
市丸がとうとう声に出てしまった。
確かに一護から見れば『おじちゃん』かもしれない。
しかし、死神時は『隊長』と言われていたため、言われたのは初めてだ。
「一護。(確かにそうかもしれないけど)おじさんじゃなくて、藍染、だよ。」
「あいぜん?」
「・・・・惣右介って言ってみ?」
「そー・・・すけ?」
「これからはそう呼ぶんだ。」
「うん。そーすけ」
可愛く手をあげて返事をする一護はふんわりとわらう。
それに便乗した市丸がいそいそと一護の近くにより、自分をさした。
「ボクのことはなんて言うんですかね?」
「・・・・・キツネ!!」
もはや人ではない。
確かにそのようには見えてしまうかも知れないが、あえて我慢して対応する市丸。
藍染は市丸を見下すように笑ってやった。
「ボク、人間やの。市丸ってゆうん」
「市丸。」
市丸はどうやら下の名前じゃなくていいらしい。
あえて言ってほしいと願うのは日番谷らしいが、なかなか呼んでくれなかったりする。
藍染は一護。市丸は日番谷。
年齢層からしてこいつらはロリコンだ。
日番谷は例外としても、一護に対する藍染は完璧にそれだ。
この様子をただじっと眺めていたウルキオラは
一護には危害はないだろうと思い、ホッとして見守った。
―――おまけ――――
藍「そういえば、ウルキオラは最初なんて言われたんだい?」
市「そういえば。」
ウル「・・・・普通に・・・・“おにいさん、だぁれ?”と言われました。」
藍&市「「・・・・・((ひいきだ!!!!))」」
ウル「市丸様。服ですが、まともな物買ってきて下さい。
下にはくものがないじゃないですか。」
市「やっぱダメ?」
ウル「はい。(普通に考えろ、普通に!!)」
藍「それは心配ないさ、ウルキオラ。時期に服を作るから。(もちろん自作)」
ウル「・・・わかりました。(変なの作ってくれるんじゃないだろうな、このオッサン。)」
――――おまけのおまけ――――
冬「なぁ。わざわざ買わなくても俺のを貸せばいいんじゃねの?」
市「そんなん嫌や!!」
冬「え。なんで・・・ι」
市「服から匂う冬のふわぁ〜・・・とした匂いが消えるやろ!!」
冬「(こいつ変態かよ・・)・・・」
市「!!なんや、その軽蔑っぽい眼は」
冬「別に・・・」
市「なんかあるならゆうて!!」
冬「いいのか?俺がそれをA4サイズの紙に書くと両面ピッシリ真黒に埋まるぞ?」
市「ボクも冬の好きなところ書くんでしたらそれくらい簡単ですわ!!」
冬「(もういいや・・・)」
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