「ふふふ……これで完成だ!今行くよ、愛しの一護vv」












藍 染 の 野 望












ウルキオラの膝を枕にして気持ち良さそうに眠っている猫なミニチュア一護。

微笑ましいこんな一面もそう長く続かないのが此処、虚圏である。






「いっちっごぉーーー!!!」





ビクッ





目を見開き、耳をピン、と立てて辺りを見回しながら警戒心バリバリの一護。

その様子を見てウルキオラは溜息を零した。



一護の手はきっちりとウルキオラの白い死魄装を握っている。

緊張している一護を上から眺めているとほんわかとしてしまう。







バーン!!!

「私の一護ーーーvvvv」

「みゃ……っ!!」

「!…あ、藍染様。大声出さないで下さい。一護様がせっかく気持ちよく俺の膝で寝ていたのに……」







ウルキオラの後ろに隠れて顔を少しだけ覗かせている一護の頭を優しくなで、藍染に視線を向けた。

どんな表情をするかと思いきや、思ったとおり!羨ましそうに見ているではないか。







「ムキーー!!!ウルキオラ!!君の言葉に最近棘を感じるよ!!」

「(当り前じゃないですか、そんなの)……いえ、そう感じるのは藍染様だけです。」







忠誠心の欠片さえなくなってしまったようだ。流石に自業自得と言えよう。








「ふっ…まぁ、いいさ!」

「何勝ち誇ってるんですか。」

「さぁ一護!!これが欲しくないかい!?」








と見せたものは、こりゃまた怪しい液体。








「はぁ…(学習しろよな、このオッサン……)藍染様、一護様がそのような怪しいもの欲しがるわけ……」









と言いながら一護に視線を向けるが何か興味がありそうな反応。一護はムズムズしている。

と、突然…夢でも見ていると思いたい。一護が藍染に向かって走り出した。

正確には藍染が持っている液体に向かって、だ。








「いいいい一護様!!」
(有り得ない有り得ない!こんなこと絶対にあり得ない!!こんなの悪い夢だ!!あ、俺は夢を見ているのか!?)


「うんうん、夢だ夢……」


「夢なわけないだろう、ウルキオラ!!」








足元で手を一生懸命のばしている一護を抱き上げて頬擦りをした。

だらしなーく鼻の下をのばしているではないか。


一気にウルキオラの血の気が引いた。






(危険だ!!200%危険だ!!一護様を直ちに救出せねば………!!)






そう考えている内に藍染は玉座に戻っていく。

もちろんウルキオラも一護を取り戻すべく藍染の後を追った。







「……あ、ありえねぇ…………」







あーあ、素直な感想言っちゃってるよ。

冷汗を流しながらそんな言葉を発したのはグリムジョーであった。

藍染の行く先に立っている彼にウルキオラは(不本意だが)声を上げた。









「グリムジョー!一護様を……」

「何を言っているんだい?まるで助けるみたいな言い方じゃないか。」

「普通だろ。」

「君たちの目は飾り物かい?」







藍染の勝ち誇った言い様にウルキオラとグリムジョーは嫌そうな顔をした。






((それはこっちの台詞だ!!!!))


「私と一護は一万年と二千年前から相思相愛じゃないか!!」


((絶対違う!激しく勘違いだ!!))


「藍染様、一万年と二千年前は一護様は生を受けてませんが?」


「……………あぁこうしちゃいられない!!私の可愛い可愛い一護に似合うリボンを買わなくては!!」


((話逸らしやがった……!!))


「さぁさ!ウルキオラにグリムジョー!十刃諸君を1分以内に集めてくれたまえ!!」

「「……はぁ!?」」

「あ、遅刻したら十刃から降ろしちゃうから。」


((職務乱用だ!!!))






しかも、おじさんが『降ろしちゃうから』なんて可愛く言ってもキモいだけだ。

なーんてことは口に出さないでおいた二人だった。



















〜1分後〜



ぜーはーぜーはーー……


ウルキオラとグリムジョーによってなんとか集合した十刃は席に着き、全身で呼吸を繰り返していた。

集められたのは十刃だけではない。市丸と猫化した日番谷も集まっている。







「よく集まってくれたね、十刃諸君。」


(((((お前が呼んだんだろ!お・ま・え・が!!)))))




「さて、諸君を呼んだのはね、一護に似合うリボンを決めるためだ」

「……どれでもいいのでは?」

「はいそこ黙って!!口を慎みなさい!ザエルアポロ11号!!」

「つまらないんでやめてください。」







テンション高く、変なことを言い出す藍染にとても嫌そうな顔をして反論するザエルアポロ。








「つまらないのは君の変な頭の色だよ、11号!」

「地毛ですから。」





まず名前を突っ込もうと思わないのだろうか。既に名前が違っている。






「11号はほっといて…君の意見を聞きたいんだが……ハリベル?」

「………ペットではないので、リボンは不要です。」

「ペットじゃないもん。私の可愛い一護だもん。」






だから可愛くないから!

おっさんが“もん”とかいってもキモいだけなんだって!!









一方、藍染の後ろに控えている市丸と腕の中にいる猫化した日番谷だが………








「ふーゆっ。なんで藍染さんばっか見とるん?寂しいやないの、こっち向いてぇな。」






市丸の言葉もあってなのか、飛び出したい気持ちを抑えているようにも見える。

これが市丸への愛情故か、それとも単に耐えているのかは本人しか分かっていない。






(なんやおかしいな。普段は絶対に懐かん藍染はんに一護チャン懐いとるし…。

ふゆも猫になってからは素直に僕に愛情表現しとったんに…。)





「ん?」





市丸はふと、日番谷と一護の頬がほのかに赤く、目がとろん、としているのに気づき、日番谷を抱えていた腕が少しだけゆるんだ。

それと同時に日番谷は変態な藍染に向かって走り出した。







「あ、ありえねぇ…日番谷まで……」

「フフッ 罪な男だね、私は。モテモテで困ってしまうよ。」



((((だまれ、おっさん!!!))))






デレっとした表情で両腕に花を抱える藍染に全員の心の声が重なった。




懐から覗かせている何かに一護は手を伸ばした。

それはするりと藍染の懐から転がり落ちてウルキオラの前で止まった。

反射的にウルキオラはそれを拾い、まじまじとそれを見る。






「コレは………マタタビ?」





疑問符を浮かべていると、藍染の腕の中にいた一護はと日番谷は藍染を蹴ってウルキオラに飛びついた。






「あぁっ!私の一護!!!」

「藍染様?これ…マタタビ、ですよね?」

「何やそれ?」






市丸はウルキオラにしがみついている日番谷を引き剥がして自分の腕の中にしまいながらそれを覗き見る。




「マタタビ…それはマタタビ科の慢性落葉低木。山地に自生し、葉は円形、夏には葉面の半分が白変する。猫類が好むそれは初夏、白色5弁の花が咲き…」

「そんなん聞いてるんやない!!」

「ちなみに広辞苑参照です。」

「ちゃうわ!!」



「ウルキオラ!市丸にそんな話をしても3歩歩いたら忘れるんだから意味ないんだから早く返しなさい!!!」

「何を……ですか?」






藍染が必死に差し出してくる手を見てから冷やかな目で見る。







「おめーいくらあいつが懐かねえからって小道具に頼っていいと思ってんのかよ。」

「ふふん、私はやりたいことをやっているだけだよ、グリムジョー」

「藍染はん!!ボクにもそのマタタビいうんちょうだい!!」

「天に立つ者として恥ずかしい行為…」

「なぁなぁボクにもーー」






藍染と東仙は市丸の話など全く耳に届いてないようだ。

それでも市丸の子供のような訴えは続く。





「市丸黙れ。
…藍染様、けじめをつけましょう。これも正義のために。」






と、東仙が破面に合図した。

目の前に出された大量の大きな袋の山。その中には藍染が見たことのあるものが詰まっていた。





そう、



藍染が部屋に飾っていた一護のグッズたちだ。


それこそ、いつこんなの撮ったのだろうかと言いたいような写真の数々もある。

特に一護のお着替えシーンなんて可愛いものに見えてくるものまで。







「没収させて…いえ、処分させていただきます。」

「なに!?私の一護グッズが!!オアシスがぁ!!!」




藍染の叫びなどまるで無視して処分品を片づけていく。

きれいさっぱりとなった藍染の宮…オアシスはシンプルなものとなり、一週間





「一護を見ません、会いません、触りません、STOPストーキング…」






という反省文を延々と書かされたのであった。


























市丸はというと………




(藍染はんには悪いけど……v)






ちゃっかりマタタビを持ち帰り、自宮で一人たっぷりと楽しんでいた。











***END***