木の隙間から見える花火を見ながら、日番谷は溜息を零した。

ベタベタの体でこれからどうしろというのか。

そのまま浴衣を着るわけにはいかないし、だからと言って当然浴衣を着ないわけにもいかない。




どうしようか頭を迷わせていた時、ぬるっとしたものが太腿に感じた。









「っ!!」


「ふゆー…いきなり起きないでくれへん?」


「何、して……」


「ふゆが意識ない内にキレイにしとこと思うて。」








視線を他に移せば、ちゃんと後始末できるように持ってきていたようで。








「………(最初からこのつもりだったな、市丸!)」








心の中で呆れていたらヒョイ、とまた足の間に座らされていて。

意識ない内に全て終わっていたことを、悟らされる。



身体を市丸に預けながらため息を零すと、走る腰の痛みに思わず顔を歪めてしまう。









「ふゆー…大丈夫?」


「なわけねーだろ…ι何回ヤれば気がすむんだ……」


「んーーー……何回でもv」


「な…っ!」





「でも、スリルはあったやろ?他の人に見られるかもーーって。」


「今後、外は禁止だ!」


「えーー……」









不満の声を漏らすが、日番谷の一睨みによりそれは止まる。




子犬のようにしゅんとする市丸だがこちとらそんなのに構ってられない。

市丸のせいで自分は着る服がなくなってしまったのだ。

いや、着る服はあるが着れない、という状況。


腰痛より、うざい馬鹿より由々しき問題である。











「浴衣どうすっかな…」


「あ、ボク覚えてるーv」















「………………は?」











思ってもみなかった答えに間の抜けた声が出る。

確か行く前は着つけができなくてロリとメノリに着つけてもらっていたのだが。






「知らないんじゃ、ないのか?」


「覚えたv」






ロリが着つけていたあの1回で覚えたらしい。

先ほど脱がすとき、確認がてら完璧にマスターした市丸はそこの辺に置いた帯などを自分の膝に乗せて日番谷の着付けを始めた。

不安に日番谷はその着付けを見ていたが、行く前に着つけられた状態に戻っていった。










「市丸…これどうすんだよ…」





と言って市丸に付けられた赤いシルシを指でさした。

しかもご丁寧に見える所にたくさんつけられているようだ。






「ええやん♪もしなんか言われたら"蚊に刺された"っていえばv」


「ウルキオラには通じねえぞ、絶対!」


「気にしない気にしないvv」






完璧な着付けに頷きながら、文句を言う日番谷にキスの一つをおとした。





「うん、綺麗v」


















































「ウルキオラ!綺麗だな♪」


「はい、そうですね……」






暗い空に咲く花をずっと見上げてる一護とウルキオラ。


しかし、首が痛くなったのか、一護は首を抑えて少し前かがみになった。







「どうかしましたか?」


「首と腰が痛ぇー…」


「ずっと同じ状態で見てますからね。」







苦笑するウルキオラは少し考えて。








「オレが背もたれになりますか?」


「え、悪ィって。それじゃウルキオラが疲れるだろ?」







あわあわと手を振る一護の手を引いて、自分の足の間に入れると一護も観念したようだ。

ウルキオラに寄りかかりながら空を見上げると

さっきより随分とラクで。







「ウルキオラ、ありがとな!」


「いえ。」


「辛くなったら言えよ?退くからな♪」







見上げながらにっこりという一護に、ウルキオラは目を細めて






そのまま口付けをした。





ウルキオラの片手が一護の腰にまわして、びっくりして距離をとろうとするのを抑える。







すぐに離れる唇。


突然のことに一護は目を丸くし、顔を真っ赤にしてウルキオラを見る。

ウルキオラは満足そうに一護を見て、再び口付けをした。








さっきとは違って短くなく、息苦しくなった一護は酸素を求めて口を開いてしまって。


その瞬間、ウルキオラの舌が滑りこんで逃げ回る舌を絡ませる。







ちゅ、、ぬちゃ……






卑猥な音が、耳に届く。



腰にまわっているウルキオラの腕に一護の小さな手が掴んで放そうとするが、到底敵うはずもない。

一護の力も緩まって、深く長い口づけが続いていたとき、再び一護の手がウルキオラの腕を掴む力が少しだけ増した。







「……」







ウルキオラはゆっくりと一護の唇から放す。


糸が引いていて、その先にある涙目の一護は色っぽい。

肩で呼吸している一護の唇を舐めて、零れそうな涙をぬぐった。







「大丈夫ですか?」


「…な、んで……」







一護は頭の中をぐるぐる巡らせて、ただ出てくる言葉。





「………ど、して?」







方向転換して、ウルキオラと向かい合う。

一護の伸びた手は胸のあたりにおいて、膝で立ってウルキオラを見る。



考えていたのか、無言でいたウルキオラはゆっくりと口を開いた。



















「好きだからです」




















まっすぐの眼。



ウルキオラの深緑の瞳に映る、一護の驚いた顔。



固まった一護の後ろに上がる花火。







ふぅ、とひとつ溜息を零して、少し下を向いた。









「なぁ、ウルキオラ。」


「はい。」










少し震えている一護の声。



名前を呼ばれて顔を上げたとき、生温かい感触があった。

それが一護の唇と気づくのに、時間がかかっただろう。



触れるだけのキスはすぐに離れて。

暗くてもわかるほど、一護の顔は赤くなっていた。




目を丸くして一護を見ていると、視線に耐えられなくなったのか、恥ずかしそうにウルキオラの肩に顔を埋めた。







「い、一護…様?」


「       」





小さくて消えそうな声だったが、ウルキオラの耳にはしっかりと届いていた。






『おれも、スキ…』







耳まで真っ赤になっている一護に苦笑して、ウルキオラは一護の名前を呼んだ。

ゆっくりと顔をあげて、2人は一番最後の大玉花火と同時に唇を重ねた。





























花火大会が終わってぞろぞろと帰っていく人だかりの中、市丸と日番谷は待ち合わせの場所で待っていた。







「ふゆー…たまにはこういうのええやろ?」


「だ、誰かに見られるなんて御免だ!」


「見られるかわからへんから楽しいんやv今日のふゆは可愛えかった…」








先ほどまでの日番谷を思い返してウフフフ…と笑いだした市丸。

日番谷は恥ずかしそうに下を向いた。







「とーしろー!!」







明るい声が聞こえて、ふと顔をあげたら手を振りながら走ってくる一護の姿とその後ろを歩くウルキオラが見えた。









「花火キレイだったな♪」


「お、おう!」






花火なんてほとんど見えず、ちゃんと見たのはほんの最後だけ。

まさか「市丸にヤられてた」なんて言えず。







「じゃ、行こうぜ」


「そうだな♪」








一護と日番谷が並んで前を歩き、その後ろにウルキオラと市丸が並んで歩いていた。

わいわいと話が弾んでいる前の2人だが、市丸は未だにウフフ…と笑いながら歩いている。それをウルキオラはじとーっと見ていた。








「結構人居たなー。歩くの大変だったよな」


「ま、そりゃ皆花火を見るために来るしな。(オレもそのつもりだったんだけどな)」


「やっぱキレイだし見たくなるよな、花火♪」








にっこりとしている一護はウキウキしていて。








「お前、いつもよりテンション高いな。なんかいいことあったのか?」


「……うん、まぁな♪」








少し照れながら返事をして日番谷の方を向く。

そして、首をかしげた。







「?どうかしたか?」


「首のところ…蚊に刺されたのか?」



ギクッ
「まあ…そんなことろだ。」


「ちゃんと行く前に虫よけスプレーかけなかったのか?この時期多いんだから気を付けろよ?」


「そ、そうだな…(市丸という虫が、な)」







もう。と頬を膨らませている一護。


その後ろでは、ウルキオラが市丸を呆れながら見ていた。


もちろん、虫さされではないとわかってしまったウルキオラだが、そんな視線も無視して手に入れてたヨーヨーで遊んでいる市丸だった。


































〜おまけ〜


現世に着くまでのちょっとした戯れ...




市「なぁなぁ。着物の下って下着つけへんのやってな」


冬「まぁ…そうらしいな」


市「じゃあじゃあ!今、冬はノーブラなん?」


冬「元からつけてねーよ!!」げしっ!





一「なぁウルキオラー。とうしろー達なに盛り上がってんだろうな?」


ウル「そりゃ……ι(えー…っと)」


一「…ウルキオラ、安心しろ。」


ウル「?」


一「おれもとうしろーと同じでノーブラだ。」真剣


ウル「あたりまえです!!ι」










***END***